Q:知り合いから「そろそろ事業承継をした方が良いですよ」と勧められました。なんとなく会社を譲ることだとは分かるのですが、そもそも何をしたら事業承継なのでしょうか。
A:「事業承継」という言葉を、あちらこちらで聞くようになり、セミナーなども開かれています。しかし、結局のところ、何をすれば事業承継なのか分からない、というご質問をいただきます。
事業承継は、代表取締役と株主を次世代に交代し、その事業の技術やノウハウを次世代に継承していくことを指すことが多いでしょう。
代表取締役は、株主総会で取締役を選任し、その取締役の中から選びます。つまり、株主の意向で選ばれます。株主総会には様々な手続きがあります。特に、法律に則った「株主総会議事録」の作成が重要です。
そして、その株主を交代する方法で中小企業で多く使われるのが「株式譲渡」と呼ばれる方法です。株式譲渡は、会社のオーナーチェンジということです。株式を後継者に譲渡することで、後継者が自らを(代表)取締役に選任することができるようになります。中小企業の多くは、「株式の譲渡は会社の承認が必要である」という制限がかけられていますので、法律に則った譲渡承認手続きを経ることが必要となります。
「株式譲渡」という用語を使う場合には、株式の有償譲渡、つまり「売買」を指すことが多いでしょう。現在の株主から、その相続人以外に株式を譲るときには「売買」契約によって株式を譲渡することが一般的です。現在の株主から相続人(息子や娘)に株式を譲るときには「贈与」契約によって譲渡することも多くあります。「売買」でも「贈与」でも、契約書を残しておくことが重要です。
なお、株式の評価額によっては、売買の場合には後継者が買取資金を準備できるか、贈与の場合には後継者に贈与税が発生する可能性がある、などの点に注意が必要です。
また、事業や経営のノウハウの継承は、短期間で行うのは難しい場合も多いでしょう。事業承継計画を策定し、それに沿って実行していくことが肝要です。
株主総会手続き、株式譲渡手続き、事業承継計画は、代表者一人で行うことは難しいですので、ぜひご相談ください。